誰も教えてくれないビジネスケアラーを卒業する方法

相談援助の現場から ~ビジネスケアラーを脱却する方法~

今朝は、大変めずらしいことに、ビジネスケアラーの40代女性から、こんな相談を受けました…。

「生活保護受給者でも特養(特別養護老人ホーム)に入れるでしょうか?」

この質問がなぜ、きわめて珍しいかというと、ビジネスケアラーの人たちからの相談は、ほぼすべてが、「もうどうしていいかわからない。仕事を辞めるしかないのでしょうか?」という内容だからです。

具体的にこうしたいのだけれど、実現可能でしょうか?……と問い合わせてきたこの女性は、毎日繰り返さなればならない目の前のケアという作業に手かせ足かせをはめられながらも、必死に現状打破するために情報を集め、打開策を考えに考えてきたのだろうと思います。

咄嗟に、絶対に救ってあげなければ…と思いました。

質問の答えは、「はい。可能です」となります。ルール上、生活保護受給者の入所を規制するものは一切ありません。もちろんすべての特養が、生活保護受給者を受け入れているかどうかはわかりませんが、生活保護を受給していることが受け入れ拒否の理由にはならないということです。現に、特養に入所している人で、生活保護を受けている人はたくさんいます。

最初の質問に対する私の回答を聞いて、彼女の声は明らかに元気よくなりました。嬉々とした感じで、続けてこう訊いてきました。

「生活保護を受けた場合、実際の費用は月額いくらくらいになるのでしょうか?」

「ゼロです」

そう答えると、「ええっ!自己負担ゼロなんですかぁ!」と声高になって、驚きと喜びが入り混じったような様子でした。

「原則、生活保護受給者には、費用の自己負担はありません。ただ、住宅費・雑費(光熱費など)・医療費は生活扶助費で支払いすることになるのですが、費用合計が支給上限額を超えた場合は、自己負担額が発生します。当然、地域や施設によって費用は異なりますが、都市部のおひとり世帯の場合、月額13万円~14万円が支給されます。特養の月額料金は10万円を超えませんから、お宅さまの計画は的確なものだと思います。あと、話がちょっと逸れますが、生活保護受給者は医療もすべてタダですから、使わない手はないと思います」

私の話を聴いた彼女はさらに快活になって、手続き等のサポートを要望されてきました。お母さまの所得状況や、ご自身の生活状況についてザッとヒアリングしたところ問題なさそうでしたので、生活保護申請の流れと、特養の入所審査を有利に進める方法(特養の優先入所指針)についてガイドさせてもらいました。

特養の料金設定ですが、一日当たりの居住費が概ね850円、食費が300円、介護サービス費がいちばん高い要介護5で930円(要介護3なら790円、要介護4なら860円)です。

一方の生活保護費は、「住宅扶助5万円前後」、「食事代等の生活扶助費8万5千円前後、医療&介護扶助費が実費支給」となっており、横浜市の場合は月額約13万円です。

いずれにせよ、生活保護受給者が特養に入所する場合には、自己負担ナシになるような料金設定と制度設計になっています。

ところで、公的介護施設である特養だけでなく、生活保護を受けていても入居できる民間の老人ホームも増えてきています。サ高住もグルホも同様で、要は空き室対策です。都市部を中心に民間の物件は空き室が目立ちます。なので、生活保護費という確実な収入がある人であれば積極的に受け入れたいという施設も多いのです。そう。生活保護受給者には滞納がないので、むしろ上客というわけです。

私どもで調べた限り、民間施設の場合でも、生活保護受給者の受け入れOKというの費用相場は12万円前後。つまり、その地域の月額生活保護費の範囲内で賄える料金設定になっています。

となれば、4人部屋の特養どころか、個室にまで入れてしまうんですよ!こんなにラッキーな話はなかなかないのではないでしょうか。

親御さんが経済的に困窮している場合、かつ、お子さんが扶養するのも困難な場合、生活保護を受給することは国民の当然の権利です。長いこと納税してきてるわけですからね。

しかも、親御さんが生活保護受給者であることなど、世間に誰にも知られることはありません。ノープロです。月収13万円以下で、資産がなくて、家族の支援が得られなくて、働けない人であれば、誰でも受給できるのです。

繰り返しますが、生活保護受給者は費用を自己負担せずに介護施設に入れるような仕組みになっています。ビジネスケアラーのみなさんには、くれぐれも「おカネがないから自分でヤルっきゃないんだ」などというご認識を改めてほしいと思います。

今は意思疎通が取れなくなってしまったかもしれない親御さんも、元気だった頃には、かけがえのないお子さんが仕事を頑張り、幸せな家庭を築くことを望んでいたに違いありません。まちがっても、自分の介護のために仕事や家庭に支障が出ることなど決して良しとはしなかったはずです。

ビジネスケアラーのみなさんが真っ先にすべきは、親御さんを施設に入れるべく舵を取り、一日も早く、ご自身の人生を取り戻すことに他なりません。そうすればこそ、たまに親御さんを見舞いに行ったときに、やさしい気持ちで接することができるようになるはずですよ。

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